2008年10月08日
すぐそばの、非日常な旅


昼間、旭滝でお昼を食べようと向かったら、同じように滝へ
進む人がいた。
話しかけられ、地元ですとか、なんとか話していたら、
長くなってしまい、私、ここでお昼を食べたいので、、、と
行こうとしたら、ぼくもおにぎり持っているので、一緒に
食べましょうと言う。
歳は50~60の間位。
大きなのりも具もないおにぎりと、お水を持って、彼は戻ってきた。
「お仕事なんですか?」と尋ねたら、
『托鉢したり、仏像作ったり、、、でも今は無職。』
と答えたので、「お坊さん??」と尋ねると、
そうでもないらしい。

そのうち、細かく生い立ちを話し始めたのだけど、何だか曖昧な部分が
あって、よく理解できなかった。
『そこのお寺にね、僕の作った仏像、一体あるんだよ。
仏像、作ってみようかなって作ったら、簡単にできちゃってね。
今では、その辺の坊さんに見せたら、みんなびっくりするくらいなの。』
とおっしゃるので、すごく見てみたくなった。
それを感じたのか、おじさんは家へおいでと誘った。
天城に行かなくてはいけないので、それからでもいい??
と約束していったん別れた。
おじさんのうちは、上船原のコンビニの真ん前 。
スレートで囲われた怪しい家

(待てよ、、、あのおじさんが犯罪者だったら、私このまま
外へ出られないかも、、、)

と、今更ながら思ったが、勇気を出して声をかけた。
中から、うれしそうにおじさんが出てきた。
『お客さんは、本当に久しぶりだから、、、
『さっき、僕帰ってきたら、電気つかないの。
電気代払ってないから、
止められちゃったみたい、、、
すぐに托鉢行かなくちゃ、、、』
と笑う。
托鉢だけで電気代分も稼げるのかと、
逆に感心してしまった。
確かに昼なのに薄暗くてよくわからない。
『これが、大日如来像。』
と紹介された、お釈迦様はニヒルな笑いを浮かべて
まぶしいほどの金色

全く想定していないお姿だったので、ある意味私もびっくりした。
他の坊さんもたまげるだろう。
下から見ると、もっといいよ。と促され、座って眺める。
(メイクは清志郎、、、??)と、心の中で思う。
「一体素材はなんですか?木彫には見えないのですが、、、」
と尋ねると、
『石膏粘土だよ!』と明るく返されて、またたまげた。
粘土で作った仏様か~
インドとかは、それでもいいのかな~
とか勝手に想像して、心の中でいいことにしてしまった。
でも、ある意味、粘土でここまでできちゃったところがすごいなと
だんだん勢いに押され始めていた。
『これは、初めて山ごもりした時に作ったの。』
と、ブッダの像を見せられた。
私はこれが一番気に入った。
気に入ったものがやっと見つかってほっとした。
おじさんは、よく山にこもるらしい。
それから托鉢しに、島田のあたりから秦野のあたりまで行くそうだ。
袈裟はないので、おじさんが教えているバラモン拳の道着で行くそう。
赤い装束は密教系で言うところの高僧にあたるので、
普通の虚無僧の人たちもよけてくれるそうだ。
いつもひいきにしてくれているお家に行くと、たいそうな
接待をしてくれるって、喜んでいた。
『お礼にお経読んだりね、、、』
「先生、(ここで私はおじさんを先生と呼び始めた)婆羅門教はどんなお経読むの?」
『般若心経だよ。』
と答えた。
そういえばさっき、仏様の前に「真言宗」と書かれた経本が
置いてあった。(真言宗??)と、また心の中に謎が増えていた。
奥の部屋に通され、いろいろな仏像を紹介される。
『この人は誰かわかるよね』
と、期待に満ちた目で見つめられた私。
「ああ!三蔵法師!!」と叫んだら、
先生の眼の奥が曇った。
『弘法大師だよ、、、』と、つぶやく先生。
すいませ~ん、、、がっかりさせてしまった、、、

場の雰囲気を変えようと、先生は昔のアルバムを広げた。
『昔は弟子が20人くらいいてね、、、』
と、大仁のあたりで婆羅門拳を教えていた時の写真を
見せてくれた。
日日新聞のスクラップもいっぱい。
「婆羅門拳を広めるため、路上でブロック割り」
「婆羅門拳で、ヒグマを撃退!」という見出しが躍る。
こまめに路上パフォーマンスをぶっていたらしい。
みんな黒い道着を着て、まさに少林寺のみなさん。
「婆羅門拳って、どんなの??」
と尋ねると、少林寺もちょっと入ってるんだけど、、、
とはっきりは教えてくれなかった。
お父さんが満州の開拓団の人だったそうで、向こうで婆羅門教を
習得して帰国、その後息子であるおじさんに、教と格闘技を仕込んだそう。
うまくできないと、竹の棒で思い切り打たれたそうだ。
「他にも婆羅門拳って、教えているところあるんですか?」
と尋ねると「ない」という答え。
う~ん、、、一子相伝のケンシロウの世界が、すぐそばに!!

家じゅうに飾られている仏像を案内され、私はおいとまする
タイミングを逃しながらダラダラしていて、とうとう行かなくちゃと
外へ出た。
ブログに載せていいですかと尋ねると、宣伝になるからうれしいな~
と、喜んでくれた。
(この文体、宣伝になってる??
っていうか、宣伝したくても、消化不良で理解できないままの私)
「じゃあ、看板撮って帰ります。」というと、『僕の写真は??』
外で待たされること5分。
やっと袈裟、、、ではない道着で現れた先生。
お写真を撮らせていただきました。
『婆羅門拳は、護身にもなるから、女の人にも
いいよ。』とおっしゃるので、
「先生、電気が来ていないということは
電話もないのでは?」と突っ込んだ。
『うん、、、だから今の弟子のところに連絡してもらって、、、、』とか続けたので、
私は心の中で(そのお弟子さんの電話番号がわからんだろう)と、
グルグル考えながら、「ああ、そういうコンタクトの方法が
あったか~」なんて、変なリアクションしてしまった。

たくさん希望者が来たらどうしよう。あの部屋では狭いですよね。
と、尋ねたらその時は体育館でも借りるよとおっしゃっていました。
先生に、イタリア語の先生のところで貰ったおにぎりを
喜捨代わりにお渡しして、私の非日常な旅は終わった、、、
このお家の中と外では、全く違う次元にいるような感覚だ。
とても、不思議なショートショートを読んだあとみたい。
たぶん、コンビニの駐車場に立てばすぐにわかるので、
婆羅門拳を習いたい方、珍しい婆羅門の仏様を堪能したい方、
それから、仏像を欲しい方は、尋ねてくださいね。
お家の外から呼べば出て来てくれます。
きっと喜んで入れてくれるはずですよ。



Posted by たんたん at 23:49│Comments(2)
│静岡県(伊豆以外)口コミ
この記事へのコメント
何とも不思議な体験をされましたねー。
いや~、読んでるだけでも違う世界に行った気がしましたよ。
いや~、読んでるだけでも違う世界に行った気がしましたよ。
Posted by dilbelau
at 2008年10月09日 09:05

***dilbelauさん***
本当に、異次元空間でした。
しかも、何年もその前を通っていたのに、全く気付かず~
昨日のひどい頭痛は、たくさんのすごいものを見てしまった
せいだと思っています、、、とほほ
本当に、異次元空間でした。
しかも、何年もその前を通っていたのに、全く気付かず~
昨日のひどい頭痛は、たくさんのすごいものを見てしまった
せいだと思っています、、、とほほ
Posted by たんたん
at 2008年10月10日 16:53

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