この前、
仲の良かった近所のおじいさんが亡くなって、、、
という記事を書きました。
その翌日、庭にいたら傍の道を、もう1人の近所のおじいさんが杖をついて、歩いていきました。
この方は、数年前に隣の地区から分譲地に小さな家を建てて越してきたのですが、やはりおひとりで住んでいます。
あまり外には出ず、近所の人とも交流があまりないようでした。
私も出会ったら挨拶する程度でしたが、先のおじいさんのこともあって、話かけてみました。
『何か調子が悪かったり、困ったことがあったら、夜中でもいいから、電話くださいね!(^-^)』
そう話かけると、嬉しそうにいろいろ話してくれました。
引っ越してこられた時は、もっとしっかりしていらっしゃいましたが、いつからか杖をついて、ヨロヨロと元気がなくなりました。
尋ねると、昨年、庭先の飛び石の2センチほどの高さに足を取られ、倒れた弾みで腰の骨を折り、そのままの状態で助けも呼べずに何時間も転がっていたそうです。
隣近所はありますが、普段は人気がない分譲地なんです。
ようやく隣の家の人が帰宅して気付き、救急車で運ばれたそうです。
リハビリが辛くて止めてしまった、、、
どうなるのか不安だ、、、
とこぼすので、子どもさんはいないのかと尋ねると、息子さんが1人離れて暮らしているそうです。
いつ来てくれたか思い出せないけど、“たまたま用事で来たから寄ってみた、、、”と一度だけ訪ねてくれたそうです。
その時、
『この辺の地価は幾らくらいか?』
と聞くので、
『買わなくても、この家に住めば良いよ。』
と言うと、
『この家に住むのは嫌だ。』
と言うので、
『じゃあ、おまえは俺の面倒は看ないのか!』
と言うと
『看ない。』
ときっぱり言われたそうです。
今来た道を振り返り、そびえる特別養護老人ホームを見上げて
『俺も、いよいよとなったらあそこで死ぬんだ、、、
家は壊して無くしてもらうんだ、、、』
と絞りだすような声で、自分に言っているように言いました。
うちのお父ちゃんだって、実家を離れてここに家を建ててしまっています。
本当は、近くに住んでいつか面倒をみなくてはいけないのかもしれないのに、、、
息子さんにも、いろんな事情や、過去に何かわだかまりが起こることがあったのかもしれません。
家族の事情は、他人にはわかりません。
そんな淋しいこと言わないで、元気出して行こうよ!
毎日散歩頑張っているから、こんなに歩けるようになったんでしょう?
と励ますと、
『そうだよな!
退院した時には、歩けなかったんだもんな!(^-^)』
と、笑顔になりました。
その後も堰を切ったように話す、おじいさんのいろんな心配事などを聞いて、日が暮れていきました。
晩ご飯を作っていると、
トントン
と、ノックの音がしました。
ドアを開けると、さっきのおじいさんが立っていました。
手渡されたのは“萩の月”!
『さっき話していたら、こどもさんが小さいって聞いたから、こどもさんにやって、、、
俺1人じゃこんなに食えないし、、、
賞味期限が近いから、早く食べちゃって!』
そして、ゆっくり帰っていかれました。
片道ほんの100メートルほどだけど、痛む腰でわざわざ歩いて持って来てくださったことに、本当に胸がいっぱいになりました。
大切にいただきました。
萩の月、大好きだけど、もっと大好きになりました。
翌日、フェリーの中に持ち込んで、ガラス作家の皆さんにエピソードをお話しして配りました。
萩の月、皆さんも大喜びして、美味しそうに食べていました。(^-^)