日本髪の天使

たんたん

2009年08月17日 22:00

静岡地震

自分の作品はまた作ればいいけど、
悔しいのは、大事な思い出の品が割れたこと。

http://faro.i-ra.jp/e131023.html


ヴェネツィアのマエストロ(師匠)、ミケーレが帰国する
私のために作ってくれた、日本髪の天使(笑)

「淳子を作ってやる!」って言って、始めたので、
ワクワクしてみていたら、
天使を日本髪にしただけやん!

ちょうどクリスマスの「プレセーピオ」
仕事の流れの延長線なだけだった、、、

まあ、それがミケーレらしいと言えば彼らしい。



で、壊れたからと言って、捨てられない私。

ムラノ島での修業時代の思い出はたくさん。
だけど、思い出させてくれる品物は
本当に少ない。

「年が明けたら帰ってくるんだろう?」

と言ってくれたみんなとは、あれから16年も会っていない。




思い出にしがみつくなんて、しつこいなと自分でも思うけど、
やっぱり、ムラノ島の修業時代が今の私の原動力でもある。

なくなってしまったら、あの島の人たちとのつながりも
切れてしまいそうで怖い。

ということで、修復~

バラバラのパーツを、あの惨状の中からなんとか
探し出しました。




ガラスには、紫外線で硬化して、透明になる
特殊な接着剤があります。




ずれないように、くっつけて、陽に当てると、瞬時に
固まります。




結局、肩の部分がどうしても見つかりませんでした
かなり大きなパーツだったのに、見つからないのが
不思議です。


イタリア語の先生に、この件を話したら

「いつか、マエストロが淳子さんの工房へ来た時、
その壊れた天使を見て、

『こんなに困難な思いをして、
ガラスを続けたんだね』

言ってくれる日が来るかもしれませんね。」


と、言ってくださいました。

ああ、そんな日がいつか本当に来たら、、、

そう思ったら、グッときてしまいました。


先生によると、イタリアでも大きくニュースになったとのこと。

心配されているかどうかわからないけど、
10年ぶりにマエストロ達に、近況報告がてら、
イタリア語で手紙を書いてみようと思っています。


関連記事