すぐそばの、非日常な旅

たんたん

2008年10月08日 23:49

今日はとっても長いです。あらかじめ、伝えておきます。



昼間、旭滝でお昼を食べようと向かったら、同じように滝へ
進む人がいた。

話しかけられ、地元ですとか、なんとか話していたら、
長くなってしまい、私、ここでお昼を食べたいので、、、と
行こうとしたら、ぼくもおにぎり持っているので、一緒に
食べましょうと言う。

歳は50~60の間位。

大きなのりも具もないおにぎりと、お水を持って、彼は戻ってきた。

「お仕事なんですか?」と尋ねたら、
托鉢したり、仏像作ったり、、、でも今は無職。』
と答えたので、「お坊さん??」と尋ねると、
そうでもないらしい。

そのうち、細かく生い立ちを話し始めたのだけど、何だか曖昧な部分が
あって、よく理解できなかった。

 『そこのお寺にね、僕の作った仏像、一体あるんだよ。
仏像、作ってみようかなって作ったら、簡単にできちゃってね。
今では、その辺の坊さんに見せたら、みんなびっくりするくらいなの。』 

とおっしゃるので、すごく見てみたくなった。

それを感じたのか、おじさんは家へおいでと誘った。

天城に行かなくてはいけないので、それからでもいい??
と約束していったん別れた。

おじさんのうちは、上船原のコンビニの真ん前  
スレートで囲われた怪しい家だからすぐわかった。

(待てよ、、、あのおじさんが犯罪者だったら、私このまま
外へ出られないかも、、、)


と、今更ながら思ったが、勇気を出して声をかけた。

中から、うれしそうにおじさんが出てきた。

『お客さんは、本当に久しぶりだから、、、
『さっき、僕帰ってきたら、電気つかないの
電気代払ってないから、
止められちゃったみたい、、、
すぐに托鉢行かなくちゃ、、、』


と笑う。

托鉢だけで電気代分も稼げるのかと、
逆に感心してしまった。

確かに昼なのに薄暗くてよくわからない。




『これが、大日如来像。』

と紹介された、お釈迦様はニヒルな笑いを浮かべて
まぶしいほどの金色に塗られていて、あちこちラメが入っている。

全く想定していないお姿だったので、ある意味私もびっくりした。
他の坊さんもたまげるだろう。

下から見ると、もっといいよ。と促され、座って眺める。

(メイクは清志郎、、、??)と、心の中で思う。




一体素材はなんですか?木彫には見えないのですが、、、」

と尋ねると、

『石膏粘土だよ!』と明るく返されて、またたまげた。

粘土で作った仏様か~
インドとかは、それでもいいのかな~
とか勝手に想像して、心の中でいいことにしてしまった。

でも、ある意味、粘土でここまでできちゃったところがすごいなと
だんだん勢いに押され始めていた。




『これは、初めて山ごもりした時に作ったの。』

と、ブッダの像を見せられた。
私はこれが一番気に入った。
気に入ったものがやっと見つかってほっとした。

おじさんは、よく山にこもるらしい。
それから托鉢しに、島田のあたりから秦野のあたりまで行くそうだ。

袈裟はないので、おじさんが教えているバラモン拳の道着で行くそう。

赤い装束は密教系で言うところの高僧にあたるので、
普通の虚無僧の人たちもよけてくれるそうだ。

いつもひいきにしてくれているお家に行くと、たいそうな
接待をしてくれるって、喜んでいた。

『お礼にお経読んだりね、、、』

「先生、(ここで私はおじさんを先生と呼び始めた)婆羅門教はどんなお経読むの?」

『般若心経だよ。』

と答えた。

そういえばさっき、仏様の前に「真言宗」と書かれた経本が
置いてあった。(真言宗??)と、また心の中にが増えていた。




奥の部屋に通され、いろいろな仏像を紹介される。

『この人は誰かわかるよね』
と、期待に満ちた目で見つめられた私。

「ああ!三蔵法師!!」と叫んだら、
先生の眼の奥が曇った
『弘法大師だよ、、、』と、つぶやく先生。

すいませ~ん、、、がっかりさせてしまった、、、


場の雰囲気を変えようと、先生は昔のアルバムを広げた。

『昔は弟子が20人くらいいてね、、、』
と、大仁のあたりで婆羅門拳を教えていた時の写真を
見せてくれた。

日日新聞のスクラップもいっぱい。

「婆羅門拳を広めるため、路上でブロック割り
「婆羅門拳で、ヒグマを撃退!」という見出しが躍る。

こまめに路上パフォーマンスをぶっていたらしい。
みんな黒い道着を着て、まさに少林寺のみなさん。

「婆羅門拳って、どんなの??」

と尋ねると、少林寺もちょっと入ってるんだけど、、、
とはっきりは教えてくれなかった。

お父さんが満州の開拓団の人だったそうで、向こうで婆羅門教を
習得して帰国、その後息子であるおじさんに、教と格闘技を仕込んだそう。

うまくできないと、竹の棒で思い切り打たれたそうだ。

「他にも婆羅門拳って、教えているところあるんですか?」

と尋ねると「ない」という答え。

う~ん、、、一子相伝のケンシロウの世界が、すぐそばに!!




家じゅうに飾られている仏像を案内され、私はおいとまする
タイミング
を逃しながらダラダラしていて、とうとう行かなくちゃと
外へ出た。

ブログに載せていいですかと尋ねると、宣伝になるからうれしいな~
と、喜んでくれた。
(この文体、宣伝になってる??
っていうか、宣伝したくても、消化不良で理解できないままの私)

「じゃあ、看板撮って帰ります。」というと、『僕の写真は??』

外で待たされること5分。

やっと袈裟、、、ではない道着で現れた先生。
お写真を撮らせていただきました。

『婆羅門拳は、護身にもなるから、女の人にも
いいよ。』
とおっしゃるので、

「先生、電気が来ていないということは
電話もないのでは?」と突っ込んだ。

『うん、、、だから今の弟子のところに連絡してもらって、、、、』とか続けたので、
私は心の中で(そのお弟子さんの電話番号がわからんだろう)と、
グルグル考えながら、「ああ、そういうコンタクトの方法が
あったか~」
なんて、変なリアクションしてしまった。

たくさん希望者が来たらどうしよう。あの部屋では狭いですよね。
と、尋ねたらその時は体育館でも借りるよとおっしゃっていました。

先生に、イタリア語の先生のところで貰ったおにぎりを
喜捨代わりにお渡しして、私の非日常な旅は終わった、、、

このお家の中と外では、全く違う次元にいるような感覚だ。
とても、不思議なショートショートを読んだあとみたい。

たぶん、コンビニの駐車場に立てばすぐにわかるので、
婆羅門拳を習いたい方、珍しい婆羅門の仏様を堪能したい方、
それから、仏像を欲しい方は、尋ねてくださいね。

お家の外から呼べば出て来てくれます。

きっと喜んで入れてくれるはずですよ。


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